OECD - パリ、2017年6月7日
世界76カ国・地域の閣僚、高官が、本日、画期的な国際協定に署名、または署名の意思を表明しました。これは、既存の二国間租税条約のネットワークを更新し、多国籍企業による租税回避の機会を削減するための租税条約関連の一連の措置を早急に実施に移すものです。この新協定は、条約を巡る紛争を解決するための条件、例えば義務的拘束的仲裁などによる解決も強化しており、それによって二重課税を減らし、租税の確実性を高めています。
BEPS防止のための租税条約関連措置の実施に係る多国間協定(Multilateral Convention to Implement Tax Treaty Related Measures to Prevent BEPS)の署名式は、年次OECDウィーク中に行われ、OECD加盟国及びパートナー諸国から政府高官と民間団体のメンバーなどが一同に会し、社会が直面する最も差し迫った社会経済的課題について議論を行いました。本日署名した国々の他にも、この条約への署名に向けて積極的に取り組んでいる国々が数多くあり、2017年末までにさらに多くの国々が署名することが期待されています。
本日の署名式は、国際的な税制問題における重要な画期的な出来事で、多国籍企業による税源浸食と利益移転を防ぐという目標にまた一歩近づきました。この新協定は、この種の多国間条約としては初めてのもので、各国がOECD/G20 BEPSプロジェクトから得られた結果をそれぞれの既存の二国間租税条約のネットワークと置き換えることができます。これは、G20財相中央銀行総裁の2015年2月の会合で決められた委託を受けて、100カ国以上が参加した開放的な交渉を通じて開発されました。
アンヘル・グリアOECD事務総長は次のように述べました。「この多国間協定への署名は、租税条約の歴史における重要な転換点である。我々は、BEPSプロジェクトで合意された、世界全体で1100以上に上る租税条約の抜本的な改革を早急に実施し、租税条約の改正方法を大幅に変えようとしている。この新協定は、署名諸国を二国間条約の再交渉という負担から解放するだけでなく、企業には確実性と予測可能性の向上、市民の利益にとっては国際租税制度の機能改善に繋がるものである。さらに本日の署名式は、国際社会が団結すれば、実効的に対処できない課題はないということを明らかにしている。」(スピーチ全文はこちら)
OECD/G20 BEPSプロジェクトは、企業が利益を「消滅させる」、あるいは実際に経済活動はほとんどあるいは全く行っていない、税率が低いか無税の環境へと人為的に移転することを許している、既存の国際ルールにあるギャップを埋める解決策を政府に与えるものです。BEPSによって失われている歳入は、控えめに見積もっても年間1000~2400億米ドル、世界全体の法人税収入の4~10%に相当すると見られています。現在ほぼ100カ国がBEPS対策を国内法制と二国間租税条約において実施するために、BEPS包摂的枠組みに参加しています。
この新多国間協定は、この問題を解決するものです。OECD/G20 BEPSプロジェクトの中で開発された租税条約関連措置を早急に実施するために、既存の二国間租税条約を部分的に改正する可能性があります。この新協定に含まれる条約関連措置には、ハイブリッド・ミスマッチ効果、協定違反、恒久的施設、さらに25の署名国が受け入れた義務的拘束的仲裁に関する任意条項を含む相互合意措置などがあります。
二国間租税条約に対する最初の改正は、2018年初頭に施行される予定です。
OECDはこの多国間協定の受託者で、署名、批准、実施の過程で各国政府を支援しています。この協定の元での各署名国の立場は、OECDウェブサイトで公開しています。2017年末までに、OECDは、納税者と税務当局による協定の適用を促進するために、データベースその他の追加のツールを同ウェブサイトに掲載する予定です。
協定の全文、解説、背景情報は、以下のサイトに掲載しています: http://oe.cd/mli
署名式の様子、各署名国のイメージ画像などは、Flickr albumからダウンロードできます。
Webinarによる質疑応答セッションは、6月9日(金)パリ時間15:00 (日本時間22:00)から行われます。ご参加をご希望の方は、こちらからご登録ください: http://bit.ly/OECD-MLI-webinar.
ジャーナリストの方々は、下記まで直接お問い合わせください。
Pascal Saint-Amans, Director of the OECD Centre for Tax Policy and Administration, (+33 6 26 30 49 23)
OECD Media Office (+33 1 45 24 97 00).
Also AvailableEgalement disponible(s)
Follow us
E-mail Alerts Blogs