OECD-パリ、2017年7月13日
世界経済危機以降の新たな需要に対する政府の対応は様々で、多くの国々が社会的サービスへの支出を増やし、いくつかの国々は公共部門の雇用を削減し、またほとんどの国々が経常費を低く抑えてきました。OECDの新報告書によると、政府はこれからは、2009年から続く公共投資の漸減状態を改めるよう努めるべきです。
『図表で見る政府2017 (Government at a Glance 2017)』によると、2015年の政府支出の対GDP比はOECD諸国平均で40.9%で、経済危機前の2007年の38.8%を上回りました。政府の雇用数が雇用総数に占める割合は、2007年は17.9%で、2015年もあまり変わらず18.1%でしたが、一部の国々では労働力が減少しています。
人口高齢化と高失業率により、社会保障費が総支出に占める割合が2007年の37%から2015年には41%にまで上昇しましたが、政府はコスト削減に努め、効率を高めることで経常費を支出全体の39%から37%に抑えました。その一方で、低金利にもかかわらず、公共投資は2009年のピーク時の9.3%から2015年には7.7%に下落しました。
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政府支出の対GDP比は、フランスが最も高く(2016年は56.5%)、フィンランド(56.1%)、デンマーク(53.6%)が続いています。2015年の対GDP比が最も低かったのはメキシコ(24.5%)、アイルランド(29.5%)、韓国(32.4%)です。
(2016年、2015年の支出データはこちら)
平均すると、政府の雇用は2011~12年に下落した後、2014~15年に回復しました。2007~15年の政府雇用の割合の下落幅が最も大きかったのは英国とイスラエルで、最大だったのはチェコ、エストニア、ハンガリー、スロベニア、スペインです。
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Government at a Glance 2017はこのシリーズの第5版で、主要諸国の公共部門の実績を2年ごとに比較しています。そのデータによると、公共投資のうちの最大の割合(3分の1)が交通やエネルギーといった経済分野に向けられています。その次に割合が大きいのは防衛です(15%)。インフラ、テクノロジー、グリーンエネルギー、教育といった分野への公共投資を回復させることで、将来的な雇用と医療にプラスの影響を及ぼすようにすべきです。
支出見直しや実績評価、行動洞察などを利用して効率と生産性をさらに改善させる努力をし、また医療部門における公共調達のような主要分野に注力することで、より多く節約し、その分を本当に必要とされている公共投資に充てることができます。
本報告書に収録されている中央政府の支出に関する2016年調査データからは、技能的専門性に対する管理者としての責任に報酬を与える傾向が見られます。平均すると、トップレベルの管理者の給与はシニアマネージャーより27%多く、中間管理職より72%多く、シニアの専門職の2.6倍、補助スタッフの4倍です。1人当たりの対GDP比に調整して経済的な向上における差を計算すると、トップレベルと中間管理職の給与が最も多いのはメキシコとコロンビア、最も少ないのはアイスランドとノルウェーです。トップの管理職と中間管理職との給与差が最も大きいのはオーストラリア、チリ、カナダ、英国です。
本書は警察官、出入国審査官、税務調査官といった公的機関の給与についても調査しています。中央政府が支払う警察官(police officer)の給与は、平均で64,795米ドル(購買力平価換算)、警部補(police inspector)の給与は81,952米ドルです。1人当たりの対GDP比の差に換算すると、警察官の給与が最も高いのはギリシャ、スペイン、ポルトガルです。
その他の主な結論は、下記の通りです。
- 政府雇用者の割合が最も高いのはデンマーク、ノルウェー、スウェーデンで、雇用総数のほぼ30%に達する。アジア諸国は公共部門の職員への依存度が低く、政府雇用者が雇用総数に占める割合は日本ではわずか6%、韓国では7.6%である。
- OECD諸国で分権化が最も進んでいるのはスイスで、政府雇用者の90%以上が地方政府で働いており、それに続くのがカナダと日本です。最も中央集権的なのはトルコとアイルランドで、約90%が中央政府で雇用されています。
- OECD地域の中央政府の歳入は、2015年は平均で72.5%が租税で賄われ(ノルウェーの47.6%からベルギーの91%まで幅がある)、16.1%が社会保険料(米国が最も高く33.7%)、残りは資産売却、助成、その他の収入で賄われました。
- 支出見直しは経済危機以降利用が急増し、2011年はOECD加盟16カ国が利用しましたが、2016年は23カ国になりました。そのうち10カ国(カナダ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ラトビア、ルクセンブルク、スウェーデン、スイス、メキシコ、英国)は、支出見直しが財政目標を90%以上達成するのに役に立ったと述べていますが、9カ国はその成功を評価できなかったとしています。
- OECD諸国の市民で政府を信頼していると答える人の割合が、2007年の45%から2016年には42%に下落しました(2016年ギャラップ世論調査)。政府への信頼が最も大幅に下がったのはチリ、フィンランド、ギリシャ、スロベニアです。OECD諸国の市民の3分の2以上は、医療制度と教育制度に満足していますが、司法制度と裁判所を信頼している人の割合は55%に留まっています。
- OECD諸国の裁判官の53%は女性ですが、女性議員はわずか29%、女性閣僚は28%です。カナダ、フランス、スロベニア、スウェーデンが2017年までに閣僚数を男女平等にするとしていますが、トルコでは女性閣僚はわずか1人、ハンガリーではゼロです。
- 電子政府サービスの利用は、OECD諸国全体で2006年から3倍に増えており、2016年には約36%のOECD諸国の市民が公的機関のウェブサイトからフォームを送信しています。
本報告書は、以下のサイトからダウンロードできます。
www.oecd.org/governance/govataglance.htm
埋め込みができるデータはこちらです。
www.compareyourcountry.org/public-sector-compensation
報道関係者のお問い合わせは、OECDパリ本部メディア課のCatherine Bremer (+33 1 45 24 97 00, news.contact@oecd.org).
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