OECD―2018年10月23日
恵まれた子供と恵まれない子供との成績の差は、10歳の頃から始まり、学生生活を通じて拡大することが、OECDの調査から明らかになりました。
『教育における公平性:障壁を壊して社会的流動性を獲得する(Equity in Education: Breaking down barriers to social mobility)』によると、比較可能なデータがあるOECD諸国の平均で、成績格差の約3分の2が15歳の時点で観察され、25~29歳の格差の半分はすでに10歳の時点で見られました。
本報告書では、学校の社会経済的性格と生徒の成績との間に強いつながりがあることを明らかにしています。社会経済的に恵まれた学校に通う生徒の方が、PISAで良い成績を上げています。しかし、OECD平均で2015年には恵まれない生徒の48%が質の低い学校に通っており、過去10年間にほとんどの国でこの格差レベルに大きな変化は見られませんでした。
OECD諸国平均で、恵まれた学校に通っている恵まれない生徒の点数は、恵まれない学校に通う生徒よりも78ポイント高く、それはほぼ3学年分に相当します。
学校の社会経済的性質が成績と最も強く関連している国は、ベルギー、ブルガリア、フランス、ハンガリー、スロバキア、スロベニア、オランダで、恵まれた学校に通う恵まれない生徒の科学の点数が恵まれない学校の生徒のそれより130点以上高くなりました。それに対して、アルバニア、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、ポーランドでは、恵まれない生徒の成績が通っている学校の質の違いにほとんど左右されていません。
アンドレアス・シュライヒャーOECD教育スキル局長は次のように述べています。「社会的流動性の障壁を壊し、すべての子供に成功のための公平な機会を与える取り組みにほとんど進展が見られない。恵まれない生徒の成績を上げるために、教師の役割が重要だという認識を含め、より多くの投資が必要である。」
また本書では、幸福(well-being)が成績に及ぼす影響についても考察しています。OECD諸国全体で、恵まれない生徒のおよそ4人に1人が「社会的、情緒的に充実している」、つまり自分の生活に満足しており、学校生活に馴染んでおり、テスト不安に悩んでいないとされています。クロアチア、チェコ、フィンランド、フランス、ドイツ、アイスランド、ラトビア、オランダ、スイスでは、こうした生徒の割合が最も高い(30%以上)のに対して、ブルガリア、イタリア、モンテネグロ、ポルトガル、英国など他の欧州諸国では、その割合が比較的小さくなっています(20%未満)。
社会的、情緒的に充実していると答えた恵まれない生徒は、より良い成績を上げる傾向があります。これは、恵まれない生徒が自分自身と彼らが受ける教育に対して肯定的な態度と行動を育めるようように助けることで、彼らの教育的発展をも高めることができることを意味しています。
本報告書によると、子供は基本的な社会的、情緒的スキルを身につけることができるので、特に恵まれない家庭出身の子供はなるべく早い時期から教育を受けることが重要です。各国は、恵まれない生徒と学校に追加資源を集中的に振り向け、学校に恵まれない生徒が集中しないようにする必要があります。
教師への支援を増やすことで、彼らは生徒のニーズを理解し、学級の多様性を管理し、両親とのつながりを強化し、両親が子供の教育にもっと関われるよう奨励できるようになります。また教師は、粘り強さの重要性を強調し、生徒同士のメンタリングなどを通じて生徒が互いに励まし合うよう奨励することで、生徒の幸福を育み、すべての生徒のために積極的な学習環境を構築することができます。
下記の国々のカントリーノートを含む詳細は、こちらのサイトに掲載しています。オーストラリア、カナダ、デンマーク、フランス、ドイツ、メキシコ、スイス、英国、米国
報道関係者のお問い合わせは、下記までお寄せください。
Andreas Schleicher (tel. + 33 1 45 24 93 66) in the OECD’s Education and Skills Directorate
the OECD’s Media Division (tel. + 33 1 45 24 97 00).
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